薬局の仕事

【薬剤師のための】陰陽論♪

へむ
へむ
今回は陰陽論っていうのを解説しまーす。
仔かぴ達
仔かぴ達
陰陽論って太極図とかのあれですよね。
仔かぴ達
仔かぴ達
はーい!へむさん胡散臭いです!!
へむ
へむ
陰陽論は占いとかにしか使われない、非科学的なものってイメージがあるからね。
へむ
へむ
実は超科学的で今の薬剤師にも教訓が多いものだから。というか、へむの得意分野だから紹介したいので紹介します。

 

陰陽論は科学

陰陽論という言葉は何となく聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

ただ、その陰陽論とは何をするためのものであるかご存じの方は少ないと思います。

 

結論から言います。

陰陽論はたぶん最古と言っても過言でもない科学です。

そして、陰陽論は未来を見通す力でもあるわけです。

こんなことを書くと怪しい宗教家のように思われるかもしれませんね。

まず、科学とはどんなものでしょうか?

 

科学とは未来を予想する力

科学は未来を占うものであるということです。

ますます怪しい・・・(‘Д’)

 

科学はそれが算数であれ、物理であれ、医学であれ、

理論とか法則というものを用いて未来を予測します。

医学や薬学の分野では統計学という理論を用いて薬の効果を占っています。

A病にはB薬が有意に効くというエビデンスがある。

だから、現在A病にかかっているAさんにB薬を与えたら、

AさんのA病が治るだろうということが予測できるためB薬を処方するという理屈です。

 

陰陽論は古代の科学である

先ほど、現代の医学や薬学では統計学に基づいたエビデンスから結果を予想しますが、

昔の人は、もちろんこんなことはしていませんでした。

昔の中国人の未来を予測するときの原理原則の1つがこの陰陽論なのです。

昔の中国人にとって、陰陽論は万物の未来を占うツールであり、

医学の分野にもその陰陽論を用いていました。

 

陰陽論の概要

陰陽論を学ぶと対立とか消長とか転化とか小難しい言葉が並んで小難しいです。

ヘム的にできるだけ噛み砕いて解説します。

 

陰陽とは

まず、何事も「表と裏」とか「暑さと涼しさ」とか「右と左」とか

正反対のものに分類することができます。

この正反対に分けたものは、

例えば「表」があるから「裏」があるように、

互いの存在は片方がないと成り立たないものです。

このような存在を陰陽と言います。

陰陽には他にも、天地、明暗、男女、老若、上下、昇降、動静などなど、

さまざまなものをいろんな角度で陰陽に分けることができます。

 

陰陽の性質

陰陽に分けたものはいろいろな性質を持つと言われますが、

その性質と言うのは大きく分けて2つです。

①陰陽は互いに相手を抑制する

陰陽に分けた2つはお互いに相手を押さえつける性質を持っています。

「寒熱」で例えると、熱いお湯(陽)に冷たい氷(陰)を入れたとします。

お湯は氷によって、冷めてしまいます。

逆に氷の立場で言うと、お湯によって氷は溶かされてしまいます。

つまり、こういうことです。

 

②陰陽はお互いに変化し合い、波のような時間的変化をする

陰陽は波のように移り変わります。

「暑涼」を例にあげると、

朝から昼間にかけて徐々に暑くなっていき、昼間にもっとも暑くなります。

昼間を過ぎると徐々に涼しくなり、深夜にもっとも涼しくなります。

これを何日も繰り返していくわけです。

別に暑さや涼しさに限ったことでもなく、

「祇園精舎の鐘の声」で有名な平家物語も冒頭も全ては絶えず盛衰を繰り返すことを謳ってます。

 

陰陽論の医学への応用

陰陽論は季節や天候、政治や占いなどあらゆる分野に使われていますが、

もちろん医学の分野でも応用されていました。

詳しく言うと五臓六腑とか、気血津液などの概念を知らないと難しいところもありますが、

医学でどのように扱われているか、解説します。

 

体が熱い時は冷ます

うん、当たり前のことですね。

これは陰陽の性質のうち「①陰陽は互いに相手を抑制する」を応用しています。

もちろん、反対に体が冷えていたら温めます。

また、体が衰えていたら補います。

病気が充実していたら取り除きます。

まあ、全部当たり前ですね。

 

ただ、漢方の分野で本当にこの当たり前を実践している医者や薬剤師はどれほどいるでしょうか?

単一化合物である医薬品と違い、生薬や漢方薬は体を温める性質だったり、

逆に冷ます性質だったりを持っている場合が殆どです。

 

葛根湯や麻黄湯は体を温める性質を持っているので発熱したてで悪寒が強い人に使います。

しかし、風邪が進行して発熱が最高潮の時に使ってませんか?

防風通聖散は汗や尿を出したり、代謝を上げるので体が弱っている人には使いません。

実際は痩せているのに、もっと痩せたいからと体力がない人に使っていませんか?

 

つまり、こういうことです。

 

漢方を学ぶとまず習う陽証、陰証、実証、虚証などは漢方薬の性質から見たら当たり前に使い分ける必要がありますが、

実際は使い分けが雑な医者や薬剤師が殆どなのです。

もう一度言います。

体が熱い時は冷ます。

 

風邪は熱が上がり切ったら下がっていく

病気の進行の一般的な経過として熱を以て、

それが過ぎると体が冷えていくみたいな経過をたどっていきます。

「②陰陽はお互いに変化し合い、波のような時間的変化をする」と言う陰陽の性質です。

 

風邪の場合は下のような進行をたどると言われています。

 

①初めのうちは体が抵抗して発熱反応を示し徐々に体温が上がる。

②熱は徐々に高くなり体の表面だけでなく、内面も熱せられ消化器症状も出てくる。

③熱が続くと、体が弱り発熱できなくなってくる。

④発熱できない状態が続くと体が心から冷えてくる。

⑤風邪が続くと最後はちょっと元気になったと思うと亡くなる

 

因みにこれは「傷寒論」という急性熱病の治療方法を記している本の風邪の進行です。

この本は西暦200年前後の三国志の時代に書かれた本で、葛根湯とか桂枝茯苓丸など

今でも使われる漢方薬がたくさん載っている本です。

 

これがどいうことかと言うと、

風邪を引いている人に対して、今この段階だから次はこんな症状がでるよという病気の進行を予測できます。

さらに、病気の進行具合によって今は熱がなくて寒さがあるから温める薬を使おうとか、

熱で消化器症状も出ているから消化器症状の薬も出そうとかになるわけです。

風邪を風邪と一括りにして抗生剤などを出すわけではなく、その病気の進行に合わせた薬を使う必要があるよねってことです。

 

これは、風邪に限らず、例えば2型糖尿病では下記の経過をたどります。

①食欲が増して、たくさん食べる時期

②血管や内臓の炎症が強くなって熱っぽい時期

③腎臓が弱って痩せていく時期

 

 

中途半端に医学知識を持つ薬剤師とかは病名を聞いて、患者の状態を把握した!

と思いがちの人もいますが、重要なのは病名ではなく病気がどの状態にあるかです。

 

へむの場合は服薬相談で、ほとんどの場合は病名を聞くことはないです。

(保険上の適応の用法の確認とかでやむを得ず効く場合もありますが。)

大事なのは病名ではなく、患者がどのような状態にあるかを把握することです。