かかりつけ薬剤師の定義がめちゃくちゃ
まず、かかりつけ薬剤師とは何でしょうか?
日本薬剤師会のホームページ上では次のように解説しています。
かかりつけ薬剤師は、あなたが現在使用している処方薬や市販薬などの情報を把握し、薬の飲み残しや重複、副作用などがないか、1つの薬局で継続的にチェックします。また、患者さんの自宅に訪問して健康や薬の相談にのったり、薬局が開いていない時間帯もご相談いただける体制を整えています。
いつでも気軽に相談でき、信頼できる、地域に密着した薬局・薬剤師が「かかりつけ」です。
かかりつけ薬剤師について説明していない
意味がわかりましたでしょうか?
何かしっくりこないことはありませんか?
私は読んでみて全く文章が頭に入ってきませんでした。
なぜなら、「かかりつけ薬剤師とは」という主語に対して、
説明しているのは「かかりつけ薬局」を説明しています。
かかりつけ薬剤師の本質は「担当の薬剤師さん」なので、
それに一言も言及せずに定義づけちゃってます。
かかりつけ薬局の説明でもない
更に先ほどの文章を分解して確認して行きましょう。
あなたが現在使用している処方薬や市販薬などの情報を把握し、薬の飲み残しや重複、副作用などがないか、1つの薬局で継続的にチェック
ここは「かかりつけ薬局」の機能としての説明です。
「1つの薬局で継続的にチェック」の部分が重要です。
それ以前の文章は、かかりつけ薬局どうこうは全く関係なく、
薬局としての普通に備えるべき業務内容です。
患者さんの自宅に訪問して健康や薬の相談にのったり
ここは在宅業務の説明の記述です。
「かかりつけ」の業務とは全く関係ありません。
薬局が開いていない時間帯もご相談いただける体制を整えています。
24時間での相談体制ですね。
これも「かかりつけ」の業務とは全く関係ありません。
しかも、この文言は小売業である薬局をブラック企業と化した悪しき一文です。
働き方改革が求められている中、逆行することを強いられてしまいました。
いつでも気軽に相談でき、信頼できる、地域に密着した
最後は抽象表現で締めくくっていますね。
普通抽象表現であれば、なんとか「かかりつけ薬剤師」のことを言っているんだなと、
無理くり解釈できそうに思いましたが、、
無理でした。
「かかりつけ薬剤師」の説明として全く的外れな文章です。
総括すると、「かかりつけ薬剤師」の説明に、全く別の仕事内容を記載しているどころか、「かかりつけ薬剤師」については全く触れていません。
結論として、日本薬剤師会は「かかりつけ薬剤師」を理解していないです。
かかりつけ薬剤師が普及しない理由
かかりつけ薬剤師が、なかなか世間に浸透していないと感じています。
そもそも、薬剤師の職能団体である日本薬剤師会が、
「かかりつけ薬剤師」が何たるかを全く理解していないことも一因です。
定義を誤っているため、薬剤師ですら「かかりつけ薬剤師」を理解していない。
理解していないから、患者さんに説明もできない。
理解していないから、「かかりつけ薬剤師」の正しい価値を患者さんに提供できない。
かかりつけ薬剤師制度を普及するためには最低限でも、
薬剤師が「かかりつけ薬剤師」とは何たるかを正しく理解する必要があります。
そういうことで次回、かかりつけ薬剤師の価値の本質について触れようと思います。